雲霧仁左衛門 91TVスペシャル版

「雲霧仁左衛門」(91年TVスペシャル版)、萬屋錦之介松方弘樹若山富三郎ほか出演、田中徳三監督、フジテレビ・東映、1991

雲霧仁左衛門の91年テレビスペシャル版。制作はフジテレビと東映だが、放送されたのは時代劇専門チャンネルではなくて、東映チャンネルの方。キャスティングは非常に豪華で、ヨロキンが雲霧、松方弘樹が安部式部のほか、若山富三郎平幹二郎田村高廣、十朱幸代、花沢徳衛、御木本伸介、神山繁石立鉄男、川谷拓三、二宮さよ子等々。

ヨロキンの雲霧は盗賊というより最初から侍っぽい。まあこのお話の設定からすれば、それで辻褄はあっているのでよろし。火盗改めの与力で、カネで雲霧に情報を流している綿引勝彦が重要な役柄で、ラスト近くで雲霧を裏切って一味はほぼ全滅。しかし雲霧に復讐されてしまう。雲霧本人は、兄の田村高廣が身代わりに捕まって(このあたりの描写は、ちょっと違和感あるが)、逃げおおせる。

78年の映画版(仲代達矢)のほか、95年のTVシリーズ版(山崎努)が印象深いのだが、最近、チャンネルNECOで、79年のTVシリーズ版(天知茂)を放送している。こちらは見ていないのだが、脚本家が95年版と同じ人なので、ストーリーもほぼ同じということだ。天知茂の雲霧は渋そうなので、一回くらいは見るかなあ。
http://www9.big.or.jp/~rokugen/ingen/kumokiricast.html

だがこの91年版も、実尺約95分程度の時間で手堅くまとめていて、なかなかよい出来だと思う。真ん中あたりに若山富三郎との対決が入っていて盛り上がるし、最後をさくっと切り上げたところもよし。監督は田中徳三なので、このあたりは抜かりない。

鬼平はあれだけ長くつくられたのだし、こちらもそろそろ新しいバージョンで作ってもいいのでは、と思うが、重みのある役者が少ない今日この頃、無理かなあ。