草燃える

草燃える」3話、6話、10話、16話、18話、21話、24話、25話、30話、33話、39話、43話、48話、49話、石坂浩二岩下志麻松平健ほか出演、NHK大河ドラマ、1979

時代劇専門チャンネルでの「大河ドラマアーカイブス」の放送がやっと終わった。この話はリアルタイムで見ていたのと、その後のビデオ5巻の総集編も見たので、だいたいのことは覚えているつもりだったが、この放送を見ていると細部はほとんど忘れていた。まあ当然か。しかし「草燃える」はNHKが不用意に貸し出した際に数話失われているだけで、ほとんどの放送回のテープはあると聞いていたにしてはこれしか放送してくれないのはショック。もっとも、wikipediaの「草燃える」の項目を見ると、あと19回分あるそうなので、本当にないのは18回分らしい。18回分欠けているとDVDにするのは難しいかもしれないが、これはぜひ出してもらいたい。とにかく内容が面白い。自分としてはこれまで見た大河ドラマの中では一番かもしれないと個人的には思っている。

とにかくどの役も食えない人間だらけで、基本は合戦ものではなく政治劇である。頼朝対義経、頼朝対法皇、北条対他の御家人という具合で陰謀と暗殺劇がえんえんと続く。それでもおもしろく見ていられるのは、喜劇仕立てということもあるが、演出と役者のおかげ。石坂浩二松平健は非常によく役にはまっている。石坂浩二は年をとってからはあんまり上手いと感じないのだが、若い頃は上手いなあ。なぜでしょう。松平健はもうこのころには暴将に出ていたのだが、若い役だけでなく老け役も完成されている。後は最初から最後まで出ている岩下志麻。さすがに子供の頃の自分にも、岩下志麻が20歳にもならない役を演じていたことには、「それはないでしょ」と思えていたのだが、いま見てみると強引に納得させられてしまうから不思議である。ほかにも、武田鉄矢とか、滝田栄とか、尾上松緑とか、佐藤慶とか、上手な人ばかりなので、非常に安心して見ていられる。喜劇的といっても、最近の大河ドラマのように変に笑いをとろうとしてすべるということがない。

それに脚本。さすがは中島丈博。といっても大河ドラマの他の中島脚本は、「春の波濤」「炎立つ」「元禄繚乱」なので、そんなに出来がいいともいえないのだが、それでも本作の脚本はピカイチ。湯浅譲二のテーマ音楽も非常に爽快。いつか全話揃えて出してくれたら、絶対にDVD-BOXを買う(そのころにはブルーレイになってるかもしれないが)けど、そうなってくれるといいな。