花神

花神」第19話「上海みやげ」、中村梅之助中村雅俊ほか出演、NHK、1977

花神」は総集編を見ているので(本放送時は見ていない)、いまいち感動は薄いのだが、中村梅之助全盛期の作品なので、やはりこれは見ておかなければならない。しかしこの回は、高杉晋作中村雅俊)が上海帰りでいろいろ演説をぶつ回で、梅之助の出番が少ない。悲しい。

とはいっても、緒方洪庵宇野重吉)との師弟の対話とか、長州過激派の井上聞多東野英心)との問答とか、見どころはいくつか入っている。梅之助は、「伝七捕物帳」のときに比べてめちゃくちゃ痩せている。この後で「真田太平記」に出たときはそれほど痩せている印象はなかったので、役作りのために痩せたのだろう。大きな額、太い眉やこけた頬など、キヨッソーネ画の大村益次郎の肖像そっくり。ちゃんと研究して似せたのだろう。無骨な感じと丁寧な感じがよくマッチして、技術者で軍人というキャラクターをよく造型している。「伝七」「遠山の金さん」とはまた違った、梅之助の代表作である。

ほかは、毛利敬親金田龍之介バカ殿様を好演。「子連れ狼」からはえらい変化)と、桂小五郎米倉斉加年がよい。ひさしぶりに総集編をビデオ屋で借りてきてみようかという気になってきた。オープニングのテーマ曲は、わかりやすく美しいメロディーで、林光屈指の名曲。