深く静かに潜航せよ

「深く静かに潜航せよ」、クラーク・ゲーブルバート・ランカスターほか出演、ロバート・ワイズ監督、アメリカ、1958

潜水艦映画の傑作、ということになっているこの映画。しかしほんとにそうかなあ。米潜水艦の魚雷あたりすぎ。日本の砲弾と爆弾はずれすぎ。ほとんどチートである。

リチャードソン艦長の指揮も、なんだかなあ。上空に日本の飛行機が来て、ばんばん爆弾落とされているのに、恨み重なる駆逐艦「アキカゼ」が目前にいるというだけで潜航しない。ふつう、この時点で沈められてるでしょ。日本の駆逐艦相手に正面から突進して、ぎりぎりで魚雷を撃って艦首にあてるという超人芸もなんだかなあ。1600ヤードまで接近していたら、駆逐艦の砲撃でやられてしまうはずでは?おまけに艦長、重傷だったはずが、最後の「アキカゼ」と日本の潜水艦との戦いでは、ひょいひょい艦橋にも、司令塔上にも上がってきてる。元気じゃないの、と思ったらラストで唐突に死んでいる。

いちばん納得いかないのは、隠れていた日本の潜水艦が出てきた後の戦い。日本艦は貨物船を楯にして隠れようとするのだが、「ナーカ」の魚雷は、貨物船の下をすり抜けて潜水艦を直撃。潜水艦は浮上してるんだし、ふつうは楯にした貨物船にあたるか、吃水の浅い潜水艦の下をくぐってしまわないか?そもそも「ナーカ」はこの時点で魚雷を6本くらい撃ってしまっているはずだが・・・。

だいたい実艦をつかっている場面はしょうがないが、模型を使っている場面(潜航中)では、日本とアメリカの潜水艦がまるっきり同じ型なのは変でしょ。こういう細かいところにもっと気を遣ってもらわないと。

ドイツの潜水艦相手の映画では、ここまでナメた戦いはしてなかったと思うが・・・。爆雷攻撃を受けた後の「ナーカ」のダメージも非常に軽微。いちいち納得いかないことが多すぎ。これが潜水艦映画の傑作扱いされるって、どうなのよ。アメリカ人は勝てば満足なのか?