源義経

源義経」、第1話「鞍馬の火祭」、第33話「壇ノ浦」、第52話「雲のゆくえ」、尾上菊之助緒形拳ほか出演、NHK、1966

大河ドラマの続きで、「源義経」。菊之助(現、菊五郎)が義経緒形拳は弁慶。この組み合わせはなかなかよし。菊之助はりりしくて、若いながら威厳がある。滝沢秀明の「義経」も見ていたのだが、どうも線が細いので、どうしようもない。緒形拳は、前年の秀吉とまた味が違って、かっこいい。これはマツケンのとは違ってかなり若い弁慶だが、マツケンよりいい。

脇役も、加東大介が金売り吉次だったり、芥川比呂志源頼朝だったり、としぶいのである。いろんな人が出ているが、このころの大河ドラマは基本、歌舞伎役者でもっていたことがよくわかる。この作品ではないが、祖母は尾上松緑目当てで大河を見ていたのを思い出す。演出もちょっと歌舞伎に近いところが入っているような。視聴者も歌舞伎を見ていた人が多かったのだろう。

最終回では、最初から義経主従は藤原泰衡の襲撃を知って静かに最期を待っていたことになっている。ここでの緒形拳の奮戦は見応え満点。最期の立ち往生では、右手に長刀をつかみ、左手はまっすぐに左に伸びて、足はしっかりと開いてふんばっている。この死に方はありえないでしょ、とも思うが、歌舞伎だと思えばなっとく。義経は持仏堂に火がかけられるところで終わりで、自刃の様子は映さない。

太閤記」の入野義朗のテーマ曲もよかったが、これのテーマ曲は武満徹が書いていて、これがまたいい。やはり大作曲家は違いますね。