神様

「神様」、谷山浩子千葉哲也、坂口芳貞ほか出演、川上弘美原作、原田裕文脚色、松本順演出、NHK名作ラジオドラマ劇場、2009.3.1

「FMシアター」2002.4.6放送分の番組の再放送。これは傑作。原作は未読だが、川上弘美っぽい雰囲気。登場人物はみなこの世のものなのかどうか、よくわからない感じである。「熊」とか交通事故で死んだ「おじさん」とか壺から出てきた「コスミスミコ」とか。登場するそれぞれのキャラクターのエピソードのつながりがよくわからず、なんだかよくわからなくなってくるのだが、それぞれのエピソードに非常によい味があり、聴いていてあたたかい感じだけがのこる、不思議なお話である。

谷山浩子は、気持ち悪いくらい年を取らない人だが、この「わたし」役にはどんぴしゃ。不思議ちゃんのイメージ満開である。というか、このドラマは、「熊」「おじさん」「コスミスミコ」らが話の主役で、「わたし」は、それらの話を受けているだけなのだが、この受け方が絶妙で、谷山浩子以外の人にはこの役はつとまらないだろう。自分としては、壺から出てきて高いワインをガンガン飲んでいる「コスミスミコ」のキャラクターがとても好き。

番組の後のトーク谷山浩子は「自分が一番下手で」と謙遜していたが、実際、ほかの役者はみな上手い。名前は知らない人ばかりだが、いい芝居をしている。脚色と演出もうまい。この回は録音しておかなかったことを非常に後悔する。