大河ドラマ 武田信玄

武田信玄」、中井貴一ほか出演、田向正健脚本、NHK大河ドラマ、1988

ファミリー劇場での再放送、録画分をやっと見た。通しで見るのは2回目。本放送時は見ていない。

同じ田向脚本の「信長 KING OF JIPANGU」、「徳川慶喜」もそうなのだが、異様に画面が暗い。脚本にそのように指定されているのだろうか。室内の場面が多いといっても、演出家は全部違うはずなのに、画面から伝わってくる雰囲気がとてもよく似ている。「篤姫」なんかは、室内も蛍光灯がついているみたいに明るかったが。

脇役も上手いのだが、やはり主役の中井貴一が圧倒的に上手。これまでの寿像のイメージとまるっきり違う(頭も剃らない)やせた信玄だが、これを見ていると武田信玄というのはそういう人だと思わせるからふしぎである。特に最後の3回くらい(最終回はさっさと死ぬが)の存在感はたいへんなものである。また中井貴一の信玄が引き立つのも、作劇がちゃんとしているからこそ。視聴者に親近感を感じさせるような作りでないのに、感情移入させられてしまうのは、脚本、演出、演技がみな高いレベルで揃っていなければ起こらないことだ。

ほかの役者は、三条夫人の侍女、八重(小川真由美)の妖怪めいた怪演と、父、武田信虎平幹二郎)のシェークスピア役者っぽい存在感、それとこのドラマではめずらしい明るいキャラクターの真田幸隆橋爪功)が印象に残る。

全50話、まったく間延びしない展開ですっかりひきつけられた。それにしてもほぼ近い時代を扱っている、今の「天地人」、なんとかならないのか・・・。