イランとアメリカ 対立の構図

「イランとアメリカ 対立の構図」、第1回「断絶の時代」、第2回「改革派の挑戦」、第3回「核をめぐる攻防」、NHK/Brook Lapping、2009.2.23-25

NHK BSで放送された三回シリーズのドキュメンタリー。これは力作である。イラン革命から、ブッシュ政権後期の最近の情勢まで、イランとアメリカの関係をていねいに追いかけている。

エピソードは非常に豊富で、ホメイニ師帰国のてんまつ、米大使館占拠事件とアフマディネジャドの関わり、イランがタリバンへの敵対関係を軸にアメリカと協力を模索したこと、イランがイラクのテロリストへの関与をイギリス政府関係者に直接認め、核開発とイラク問題を取引しようとしたこと、2006年にアメリカと英仏独がイランの核開発責任者のラリジャニを国連に呼んで取引しようとしたこと、などなど、はじめて聞く話がてんこ盛りである。

インタビューは、ハタミ、カーター、ライス、ストロー、フィッシャー、ソラナら、各国外交の中心的な人物をひろく網羅していて、非常に手間のかかった丁寧な準備があったことがうかがわれる。アメリカの政権が代わり、イランの大統領選挙を控えたこの時期に、きわめてタイムリーな放送といえる。日本のテレビ局でここまでできるのはNHKだけ(クレジットを見ると、取材のほとんどは共同製作のイギリスの会社によっているようだが)だが、まさにNHKの本領が発揮された番組だ。