男どき女どき

「男どき女どき」、田中裕子、三浦賢二、加藤治子ほか出演、久世光彦演出、TBS、1988

向田邦子新春スペシャル」の1988年版。主な配役と舞台設定はいつもどおりだが、いつもとはすこしタッチが違い、ミステリーっぽい要素が入っている。父が戦死した大島家で田中裕子が三浦賢二と結婚し、三浦賢二が入り婿同様に家に同居するが、実はその正体は・・・という話。

三浦賢二の勤め先が「東亜経済研究所」で、田中裕子がそこに出かけていくと、「そんな人はここにはいません」と言われるくだりは、「陸軍中野学校 雲一号指令」のパクリ。それにしても、三浦賢二の正体が何で、なんで大島家にやってきたのか、いまいちよくわからない。軍服を隠し持っているところからすると憲兵?しかし、大島家に家宅捜索に来る時は、全員私服だからそれはおかしい。特高でもなさそうだし。大島家の長男の小林薫が「アカ」らしいのだが、たかがアカ一人捕まえるのに、そこまでするか?途中までは、むしろ三浦賢二が外国のスパイかと思っていたが、そうではなくて日本の諜報機関の側らしい。

ドラマの雰囲気はよいが、脚本の構成がいまいち(脚本は寺内小春)で、どうも話がしっくり頭にはいらない。ただし役者はみなよい。特に幼い娘役の久我蛍子はいい。ネットで探しても、これ以外の出演作が見あたらないのだが、もったいない。美人ではないが、上手で雰囲気があるのになあ。