亡国のイージス

亡国のイージス」、真田広之寺尾聰中井貴一ほか出演、阪本順治監督、イージス・アソシエイツ、2005

原作は未読。しかしこれは原作を読んでいないとわからないことが多すぎ。寺尾聰が反乱を起こす動機もちゃんと説明されていないし、中井貴一ら「某国工作員」がなぜ、どうやって反乱に関わっているかもよくわからない。

登場する護衛艦は「本物」なので、セットにありがちなちゃちさはない。しかし、その分護衛艦と大物揃いの配役に頼りすぎで、肝心の脚本がちゃんとできていない。結果、護衛艦はかっこいいなーで、終わりである。

それにこの映画の自衛隊は情けない。「某国工作員」が躊躇なく、どんどん撃つのに対して、自衛隊は相手がバンバン撃ってくるのに、撃ち返すのにもぐずぐずしている。おまけに「銃をためらいなく撃てるわけがない」とかいいわけまでしている。戦場でしょ?これでは某国にバカにされてあたりまえ。まさに「平和ボケ」である。結局は、自衛隊の勝ちに決まっているのだが、ふつうに考えれば、真田広之はあっさり撃ち殺されて終わりのはず。化学弾頭が発射されるのがわかっていて余裕がないのに、護衛艦への攻撃を遅らせる佐藤浩市国賊同然である。自衛隊は、こんな映画が宣伝の役に立つと本気で思っているのだろうか。

まあベストセラーだし、原作本は機会があれば読むかもしれないが・・・。この不出来は全部制作側の責任だろう。