あ・うん

「あ・うん」、串田和美小林薫、田中裕子ほか出演、久世光彦演出、TBS、2000

TBS「向田邦子新春ドラマ」の一作。NHK版は見ていたが(最初の4作のみ)、こちらははじめて。こっちもなかなかよい。NHK版だと、フランキー堺杉浦直樹、吉村実子ということになるが、NHK版だと、なんで杉浦直樹が吉村実子に惚れるのか、いまいち納得のいかないものがあった(そこがNHK版のよさでもあったのだけど)。田中裕子が惚れられる役だと、そこのところは素直になっとく。

2時間ドラマ枠なので、NHK版のような細かいエピソードの盛り込みはなし。しかし、こっちはこっちでアリだと思う。特に水田家の娘を池脇千鶴が演じているのだが、これがよい(NHK版の岸本加世子も捨てがたいけど)。初太郎(串田和美の父親)は、森繁久弥で、これがまたNHK版の志村喬と甲乙つけがたい。小林薫の愛人役の高田聖子(NHK版では、池波志乃)もいい感じ。NHK版の後で作られたから、いろんな細かいところに配慮が行き届いている感じで、結果としてNHK版とは双璧だと思う。映画版は見ていないので、そちらはわからないのだが。

ただ音楽だけは、NHK版には劣る。いろいろ工夫して選曲しているのだが、アルビノーニで通したあのセンスにはかなわない。