オールドノリタケと懐かしの洋食器

「オールドノリタケと懐かしの洋食器」、ひろしま美術館

明治期から昭和初期にかけての輸出用に製作された洋食器の展覧会。去年東京都庭園美術館でかかっていたものが巡回してきたようだ。ノリタケカンパニーの前身になる森村組や日本製陶製の食器、花瓶その他が200点ほど並べられている。

わたしは基本的にアールデコはキライ(特に絵画)なはずなのだが、この器はとても気に入った。なにしろ細工は細かいし、つくりは豪華で、見ていて惹かれるものばかり。ちょっと日本的なモチーフも入っているが、基本は洋風のキレイなデザイン。絵付けも、金縁の細工もみなすばらしい。ヨーロッパやアメリカのお金持ちの食卓はこういうもので飾られていたわけね。

驚いたのは、展示品はほとんどが個人のコレクションで、それも昔からの富豪といった人ではなくて、陶器を研究していた主婦の人が趣味で集めていたものなのだという(「守屋コレクション」)。主婦といっても貧乏な人に集められるコレクションではないし、だいいち場所をとるから、ただの庶民のわけはないとは思うが、これだけのものを一般の人が集めるというその執念に敬服する。東京の展覧会では、コレクター自身の講演会もあったようだけど、こちらではなし。ざんねん。