ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ダイアリー・オブ・ザ・デッド」、ジョシュ・クローズ、ミシェル・モーガンほか出演、ジョージ・A・ロメロ監督、アメリカ、2007

銀座シネパトス(歌舞伎座の手前にある地下の映画館)でやってたコレ、ロメロの新作なのでとりあえずは見なければ、ということで。今度の趣向は、「ゾンビ映画を撮ろうとしている人たちを主人公にしたゾンビもの」。

冒頭、救急車に乗せられるところだった死体がいきなり起き上がって、アナウンサーのおねえさんの顔面をガブッといくあたりには、昔の初期ゾンビシリーズの意味不明なところをほうふつとさせ、なかなか快調。しかし、大学の映画学科(ピッツバーグ大学とはっきりいってる)の学生がゾンビ発生のニュースをききつけて、ゾンビ日記を映像で残すぞと言い出すあたりから、ちょっと緊張感が落ちる。この学生どもがいまいち緊張感に欠けているのである。監督役の学生の恋人をやっているミシェル・モーガンはまあ許せるが。あと、誰でも投稿できるネット社会の問題とか、社会批評じみたところもちょっとねぇ。はっきりいって、ゾンビ映画であまり教訓をたれてほしくない。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」「ゾンビ」「死霊のえじき」の初期三部作には、そんな話はなかったのに・・・。だいたいゾンビが大量発生して完全無秩序状態になっている社会で、電気や通信が普通に機能しているものなのか?

脇役やエピソードはけっこう楽しめる。意外と親切というか、男気のある黒人自警団の兄ちゃん、つんぼのアーミッシュのじいさん(アーミッシュなので、武器や車をもっていない。しかもつんぼなので、会話は全部筆談)、YouTubeで「トウキョウ イズ ベリー バッド!」と泣き叫んでいる変なアジア系(あれが日本人だとは思いたくないです)の姉ちゃん、の三人はなかなかいい味出してる。やっと来てくれたと思った州兵が実はただの強盗団と化していたというあたりもご愛敬。それからいつも酔っぱらってるくせにいざとなると、弓矢や剣でゾンビを倒しまくるというよくわからない、映画学科の先生(一応ベトナム帰り)も新趣向。

最後は仲間の金持ち学生の邸宅(この学生も当然ゾンビに食われるが)で、パニックルームに籠城するところで終わり。いくらパニックルームに籠城して、電気は自家発電で、とはいっても、いずれは発電機に燃料を入れに行かないといけないわけだし、外にも屋敷の中にもゾンビがうじゃうじゃしているんだから、先は長くなさそうだ。救いのなさはいいが、「ゾンビ」のラストでヘリコプターが飛び立つ場面の荒涼感とか、そういう決め手になる要素に欠けるラスト。いまいち不完全燃焼。