あ、春

「あ、春」、佐藤浩市山崎努ほか出演、相米慎二監督、トラム、松竹、衛星劇場、1998

死んだと聞かされていた父親がいきなり家に現れた、という設定のドラマ。息子が佐藤浩市で父親が山崎努斉藤由貴富司純子藤村志保等々、役者は粒よりで、端役にいたるまでヘタな人はいない。山崎努は得体の知れない父親役を怪演。この役は山崎努以外には務まらないだろう。肝硬変で死ぬ病床で、おなかにチャボのひなをあたためているエピソードは涙もの。それから佐藤浩市。訳のわからない「父親」に振り回されながら、次第にそのことを受け入れ、人間的に変わっていくさまはやはり名演。最後に山崎努の遺灰を散骨するところは、なんともいえず心が温かくなる。話の中身も、細かい演出も行き届いたお話。相米慎二はやっぱりエライ。