鉄砲伝来記

「鉄砲伝来記」、リック・ジェイソン、若尾文子、東野栄治郎ほか出演、森一生監督、大映、1968

鉄砲伝来のお話。種子島ポルトガル船が漂着して、船長のリック・ジェイソンが持ってきた鉄砲に殿様(内藤武敏)が目をつけ、刀鍛冶の東野栄治郎になんとしてもこれをコピーしろと命じる。東野栄治郎の娘の若尾文子は、父親のためにリック・ジェイソンの鉄砲を盗み出そうとするが、いつのまにか二人はデキてしまいました・・・。

ポルトガル人のはずのリック・ジェイソンが英語しか話さないのは、まあご愛敬。鉄砲を分解もしないのに、部品の図面ができていたり、鉄砲が石灯籠を吹き飛ばしたり、リック・ジェイソンがなぜか外科手術のマネができたり(麻酔はどうしたの?)、台詞で「帆柱が折れている」といいながら、ぜんぜん損傷のない船が出てきたり、おもしろい場面が続出。東野栄治郎は悪徳商人の小池朝雄にだまされて堺で鉄砲を作らされ、「人殺しの道具を作るのはもうたくさんだ」等と言い出す。あなた、もともと刀鍛冶だったのでは?

若尾文子は船が直ってゴアに帰ろうとするリック・ジェイソンについていくはずが、父親に引き留められてあきらめる。その後わざわざゴアからリックが船で迎えに来る直前、リックとの間に出来た息子をかばって崖から落ちて死亡。リックは子どもを引き取ってゴアに帰るのでした、で、おわり。

若尾文子はちょっとこの役にはトウが立っているような。藤村志保も出ているのでそっちのほうが似合いだなー。脇役は、ほかに藤巻潤戸浦六宏中谷一郎などしぶい人々がけっこういる。しかし若尾文子とリックのラブストーリー部分と、東野栄治郎が鉄砲をコピーする苦労話の部分にあまりつながりがなく、話としては散漫な感じ。