赤い風車

「赤い風車」、ホセ・ファーラーコレット・マルシャンほか出演、ジョン・ヒューストン監督、イギリス、1952

ロートレックの伝記映画。侯爵家に生まれながら、不具のためにコンプレックスがひどく、ひたすら絵、そうでないときは酒におぼれるロートレックの生活。周りにはろくな女がおらず、下品な娼婦(コレット・マルシャン)くらいしかいないのだが、ロートレックは惚れている。ポスターが評判をとったことで、ロートレックの評判も上がり、まともな女も寄ってくるのだが、娼婦のことを忘れられないでぐずぐずしている間に逃げられてしまう。最後は酔っぱらって階段から落ち、家にかつぎこまれて夢を見ながら死ぬ。

ロートレックを演じているホセ・ファーラーはめちゃめちゃ上手い。芸術家の変な性格や、奇行、絵に対する集中、いずれも画家そのもののみたいに演じている。娼婦のコレット・マルシャンも上手い。ムーラン・ルージュ(これが原題)のセット、パリの町の様子、ダンスに狂う人々、衣装、みなちゃんとつくりこまれている。

最後にロートレックの臨終で、踊り子たちの幻を見るところは切なくて明るい。よい話だ。