伝七捕物帳 大江戸裏町出世双六

伝七捕物帳」160話 「大江戸裏町出世双六」

客演は、村田みゆき/左とん平/高橋昌也。畳屋の政五郎(左とん平)と、おはん(佐々木愛)の夫婦は金がないのに、政五郎がけんかっ早く金を稼げないので難渋し、とうとうおはんは家を出てしまう。どうしても金の工面がつかないので政五郎は死んだふりをして香典を集めることに。棺にはいっているわけでもなく、皆の前で寝ているのに、ばれないわけはないと思うが、皆は香典を置いていく。香典がなくなり、政五郎は大騒ぎするが、実はおはんが香典を返して謝っていたのでおとがめは免れる。

そこに堀田備前守(高橋昌也)の使いの侍たちがやってきて、政五郎とおはんの子どもの鶴坊を連れて行く。子どもは7年前にさる女から30両もらって育てるように頼まれたものだったが、それが殿様の嫡子の双子だった。そこにつけこんで子どもをさらい、備前守から五千両をゆすりとろうとする悪党たちが現れる。

捕り物はさっさと終わり、子どもは備前守が引き取る。政五郎夫婦には新しい子どもができるというオチ。最後は祭りの場面で、レギュラー陣がみな登場し(なぜか新吉だけいない)みこしをかついで踊り歩く。なぜかお玉も出てきて、小春姐さんに「まだ子どもができないの」とか言ったりしている。話のネタは「大工調べ」「妾馬」ほかの落語からいろいろとってきている。このシリーズ、以前も「妾馬」をネタにしていたなー。指じめは、早瀬様やお玉も加えて、旧レギュラーみんなでする。

脚本内田弘三、監督斎藤光正。

160回続いた日本テレビ版「伝七捕物帳」もこれでおしまい。水戸黄門銭形平次ほかの長寿ものに比べれば短いとはいえ、全部見ると消耗した。昔見たときはとてもおもしろいと思っていたのだが、今回見てわかったのは、おもしろかった回だけを覚えているからで、多くの回の出来は並である。池田一朗脚本の回はかなりアタリが多いが、ほかはそれほどでもない。桜井康裕鈴木兵吾はまあわりといいが。監督は山田達雄斎藤光正ら、数人で回しているので、それほど違いを感じない。その分脚本の出来で左右されているようである。

ゲストはいろんな俳優を呼んでいるが、レギュラー陣の人々、文治、小春、赤っ鼻、ちょろ松、早瀬様あたりの人たちはみな前進座の役者さんで、だからこのドラマ以外ではあまり見ない。しかしこの人たちはみな上手いし、ちゃんと役にはまっている。そうでないと長くシリーズは続けられないだろうが。

で、このシリーズの何がいいかというと結局中村梅之助である。テレビシリーズの代表作は、この「伝七捕物帳」か「遠山の金さん捕物帳」のどちらかだろうが、自分としては伝七かな。丸っこい憎めない顔、締めるときはびしっと締める厳しい表情、とにかく上手な芝居。この人の最盛期の演技がちゃんと残っていて今でも見られることはほんとうにありがたいことだ。このシリーズ、12月からまた週一回、連続四回放送で再放送するらしい。また見てしまうかもしれない。どこかの局で「遠山の金さん捕物帳」やってくれるといいのだけれど。