ゴジラ

ゴジラ」、宝田明志村喬河内桃子平田昭彦ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1954

今度の日本映画専門チャンネルでの放送を2作目から見てしまったので、一応1作目もあらためて見なければということで。ああ、戦後だなーというか、ゴジラの登場そのものが戦争のイメージとダブっていることをあらためて感じる。セット破壊のところはそんなに派手ではないのに、街全体が炎に包まれていて、初公開時に見た人は空襲の記憶を思い出していたことだろう。アナウンサーは銀座から芝浦、田町まで火の海だといってるし。

怪獣同士の格闘がないせいか、単に着ぐるみが重すぎるからか、ゴジラの動きがゆっくりしていて結果として巨大さをうまく演出している。東京破壊の場面が夜だというところも破壊の強烈さに貢献している。国会議事堂や勝どき橋が壊れるところはきれいだなー。廃墟になった夜の東京の次に昼間の病院にけが人があふれているところもいい。伊福部昭のマーチが流れると、大したことはなさそうな保安庁フリゲートやトラックでも、かっこよさは10倍である。

山根博士と芹沢博士は、やはり博士の中の博士。志村喬は何をいっても説得力がありまくり。博士はこうでなくっちゃ。平田昭彦のちょっとぎごちない演技と眼帯、それからマッドな感じがよし。しかしオキシジェンデストロイヤーは、魚や環境には具合が悪そうだが、水中の酸素が破壊されても兵器としてはたいして意味がないような気が・・・。それになんで爆雷のようなものを使わずに人間が手で持っていかなければならないのかもよくわからないが・・・。

最後が勝利でなくて鎮魂で終わっているところがよい。やはりこの重たさが1作目の味。

昭和ゴジラシリーズは、やはり2作目「逆襲」と3作目「キンゴジ」の間に大きな断層があって、ひとまとめに同じシリーズとはくくれない。自分としては、1作目がやはり名作ではあっても、「キンゴジ」以後のいろんな路線もこれはこれで受け入れられる。といっても、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」「ゴジラ対メガロ」の三つはちょっと勘弁してほしいが。15作も作って、これだけの打率なら大したもの。平成シリーズやミレニアムシリーズは見たことないのだが、これもちょっとたのしみになってきた。