キングコング対ゴジラ

キングコング対ゴジラ」、高島忠夫佐原健二ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1962

キンゴジである。これも初見。しかし、前作「逆襲」から7年たったせいなのか何なのか、作風はまるっきり変わった。暗さ(画面も、ストーリーも)はさっぱりと消え失せ、日本もすっかりおちゃらけた感じ。高島忠夫藤木悠のテレビの人が、南海の島で土人(この単語は連発)とキングコングを捕まえるところは笑うしかない。が、この土人の踊りについている音楽は、伊福部昭作曲の傑作。土人メイクのへんな日本人(格好は半分インディアンの扮装みたい)の踊りには、なんともいえない味が。

ゴジラは前二作より、首が短くなり、おなじみの着ぐるみに代わった。建物はあまり壊さず、北極の某国基地(なぜ北極に戦車がいっぱいいる?)とか、電車とか地味に壊している。そしてなぜか松島に上陸した後、いきなり熱海に登場。眠らされて運ばれたキングコングと富士山麓で決闘。前作のアンギラスとの戦いが地味だったのに比べて完全にプロレステイストになった。富士山麓のセットには何もないのだが、怪獣の巨大感は伝わってくる。そしてラストは、なぜか熱海城。いっしょに熱海城を壊して、二匹とも海に転落。なぜかそのままいなくなってしまう。最後は平田昭彦の博士がよくわからないコメントで強引に納得させる。まあ平田昭彦の説明なので素直に聞きました。

浜美枝若林映子のボンドガールコンビとか、田崎潤の総監とか、あとなんといっても「じい」こと有島一郎の宣伝部長とか、人間のキャラクターはかなり立っている。シリアス路線でないゴジラも、これはこれでよし。