北京の55日

「北京の55日」、チャールトン・ヘストンエヴァ・ガードナー、デヴィッド・ニーブンほか出演、ニコラス・レイ監督、アメリカ、1963

北清事変で北京で包囲された列強外交団と軍隊の活躍を描く史劇。アメリカ軍の少佐を演じるヘストン様とイギリス人外交官のデヴィッド・ニーブンの二人だけが大活躍。それにロシア人の伯爵夫人エヴァ・ガードナーがからむが、ほかの列強関係者はほとんど出てこない。しかし伊丹十三が、柴五郎中佐役でちょこっと出てくる。若いね!

清朝側は、西太后ほか端郡王とか栄緑将軍といった主要な登場人物はみな西洋人が化けている。しかしうまく化けているのでちょっと見ただけでは西洋人とはわからない。義和団とか、その他大勢の清人はカス扱いである。これは中国人が見たら怒るだろう。日本の描き方もよく見ると、ことさらに役割を矮小化している。籠城していた列強の国民が救援軍を迎える場面では、日本軍にだけ、歓呼がないとか。もとは清朝を共同で痛めつけた仲間じゃないか!根性がケチである。

北京での略奪とか、列強側にいかにも都合の悪そうな部分はなし。これは今のご時世では政治的につくれない映画だろう。ヘストン様が義和団をなぎ倒すところだけが見所の痛快作。