柳生一族の陰謀

柳生一族の陰謀」、上川哲也、松方弘樹ほか出演、山下智彦監督、テレビ朝日東映、2008.9.28

テレビ朝日が映画枠を使った単発ドラマ。テレビドラマではあるが、1978年の関西テレビ制作テレビドラマ版ではなくて、1978年の深作欣二監督、東映制作映画版のリメイク。

ストーリーの大筋は1978年映画版と同じ。しかし、出雲阿国が徳川忠長ではなく、柳生十兵衛の恋人になっていたり、小笠原玄信斎(丹波哲郎)役が消えていて、それが烏丸少将文麿に組み込まれているとか、いくつかの違いがある。まあ尺も違うし。

キャストは、ヨロキンが扮していた柳生宗矩に前作で徳川家光役だった松方弘樹千葉真一だった柳生十兵衛に上川哲也その他。今回烏丸少将文麿になっているのは佐野史郎

78年映画版を見ているので比べてしまうのは仕方ないが、はっきりいって、やめときゃよかったのに・・・という出来。出演者でまあまあよくやっているのは松方弘樹だけである。それでも萬屋錦之介のあのイカレっぷりには比べられない。特に「夢じゃ、夢でござるぅ」のラストを同じパターンにしたのはよくなかった。前作を見ているとかなりがっかりする。上川隆也も、千葉真一に比べると、とてもとても、十兵衛役の貫禄はない。なんだか単に善人過ぎて十兵衛の凄みが感じられない。柳生十兵衛のイメージは、近衛十四郎の後はほとんど千葉真一が作ったようなものだから仕方ないといえば仕方ないが。

あとの配役は78年映画版にくらべてあまりに軽すぎる。佐野史郎もがんばっていることは認めるが、成田三樹夫の伝説の怪演に比べるのはかわいそう。ほかの役者のほとんどは単に「ヘタ」である。津島利章の音楽がないのも大きい。

わざわざお金をかけて映画をリメイクするくらいだったら、78年テレビ版を再放送してくれたほうがよっぽどいいのに。