伝七捕物帳 孝心 涙のさばき

伝七捕物帳」55話 「孝心 涙のさばき」

客演は浜畑賢吉津山登志子嵐芳三郎津山登志子嵐芳三郎の親子が火事で焼け出されて、菊乃屋のある長屋にやってくる。しかし菊乃屋で働いていた津山登志子は、店に来た三国屋の奉公人の壺を割ってしまい、百両弁償しろと迫られる。その弁済に嵐芳三郎が昔柏屋に金を貸していた証文を持ち出すのだが、その証文もだまされて奪われてしまう。壺が割れたのも、証文が奪われたのも、みな悪党どもの仕掛けた罠だったのだ。

津山登志子は思いあまって柏屋に火をつけてしまう。その後入水自殺をしようとしたが失敗、菊乃屋のみんなは津山登志子をかばおうとするが、伝七は真相を見抜いて津山登志子に自首を勧めるのだった、という話。この話には立ち回りの場面がまったく出てこない。火付けの罪は火あぶり。津山登志子を守ろうとする周りの人々の情けと、それでも罪のつぐないを説いて自首させる伝七の気持ち、伝七から事情を知って情けある裁きを下す遠山様の、心の動きで話ができている。これは上手い、と思ったら、案の定、脚本は池田一朗。罪は罪として、津山登志子をとがめる伝七が、そのことで長屋や菊乃屋のみんなから白眼視されるところが、この話の味。伝七の情けが単に甘いだけではないところをよく見せている。

「遠山の金さん」でおなじみの「北町奉行遠山左衛門尉様、御出座あ~」という口上が聞ける(もちろん遠山様の姿はそこでは出さない)。この回も勘太は休み。監督斉藤光正。