クリストフ・エッシェンバッハ フィラデルフィア管弦楽団 五嶋みどり

五嶋みどり(Vn.)、クリストフ・エッシェンバッハ指揮、フィラデルフィア管弦楽団

ブリテン「ヴァイオリン協奏曲」
ショスタコーヴィチ交響曲第5番

兵庫県立芸術文化センター 2008.5.25

ブリテンの協奏曲はあまり聴いたことがなく、耳がなかなかついていかない。しかしかなり弾くのが難しい曲だ。五嶋みどりはスイスイ弾きまくっていた。さすが。長いカデンツァもきれいにまとめた、よい演奏。
しかし今夜はやはりショスタコーヴィチの5番が圧倒的によかった。オーケストラががんがん鳴る鳴る。弦楽器も力があったし、打楽器がびしっと決まっていた。金管はちょっととちったりしてたけど、これだけ聴かせる演奏だと多少のことは関係ないという感じ。終結部もきれいに締め、豪華な演奏を聴けてよかった、と満足。

アンコール曲は、ワーグナーローエングリン」の第三幕への前奏曲。これもよく鳴っていた。盛り上がった気分をさらによろこばせてくれてフィナーレ。エッシェンバッハはサービスいいね。


という話とはまったく関係がないが、今日、2008年5月25日のNHK教育N響アワー」での、中村紘子(ピアノ)、準メルクル指揮、NHK交響楽団による、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番にはほんとうにびっくりした。中村紘子の最近の演奏についてはいろいろ評判も聞いていたが、実際に聴いてみるとこれはほんとうにひどい。

中村さん、練習してるんですか?といいたくなるくらい、5小節か10小節ごとに弾き間違いが連発、テンポもリズムもグダグダ、しかもオケとぜんぜん合ってない。まあN響のほうもあまりほめられた演奏ではなかったが、中村紘子のほうはそういうレベルじゃない。前にフジコ・ヘミングの演奏を聴いてびっくりしたが、あれに匹敵するくらいすごい演奏。それに中村紘子はずっと現役演奏家を続けている人だから、驚きは倍増しである。司会の岩槻里子が「気迫に圧倒されましたね」とかいってたけど、気迫って、ねぇ。演奏が終わった後普通に拍手がされてたことにも驚く。いや、もしかしたらNHKは拍手だけ音を差し替えたのかもしれない、と思ってしまったりする。それにしてもこういう演奏が流れるとはN響アワーは油断がならない。