伝七捕物帳 赤っ鼻の五平 危機一髪

伝七捕物帳」34話、「赤っ鼻の五平 危機一髪」、中村梅之助高橋長英、今村民路ほか出演、1973

赤っ鼻の五平が主役の回。脚本は服部一久、監督土屋啓之助。五平の子供が賊にさらわれて本当に危機一髪になる話は前にあったが(話数は忘れた)、こっちはそれに比べると危機感が薄い。飴屋の六さん(田中春男、六さんの初出は、31話「島から来た花嫁」)がらみで飴を盗んだ子供を捕まえた五平が、子供の母親のお袖(三浦布美子)に情けをかけ、お袖の前夫の盗人、暗鳥の駒造(菅貫太郎)に脅迫されるという話。

五平が十手を取り上げられる瀬戸際に、という話にしては、五平のかかあが亭主が浮気したと伝七に泣きついてみたり、どうも緊張感に欠ける。しかし五平が手柄でかなわない伝七に嫉妬する気持ちを伝七にあらわにしたり、自分の過去を子供に重ね合わせて情にほだされるくだりは、人情話としてよく書けている。もちろん伝七が五平を助けるのだが、手柄が五平のものになるところはいい話。