本願寺展

本願寺展」、広島県立美術館

親鸞聖人七五○回大遠忌記念ということで、西本願寺の寺宝を展示する展覧会。西本願寺の襖絵や欄間の彫刻などの美術品もあるが、中心は御影、親鸞直筆の経文や書簡、名号、歴代門主(おおよそ准如まで)の影像、譲状、系図などの、信仰の対象となってきた品々。西本願寺が、自派の正統性を親鸞以下の血脈相承を強調することで訴えてきたことが、展示品を通じてよくわかる。

この展覧会、一ヶ月あまりの期間なのに展示替えが五回もあるのだが、行ってみて理由がわかった。展示品の点数がやたら多いのである。書状の類はケースの上下に並べられ、それぞれの内容を活字に直したものがついていて、まめに読んでいくと2時間くらいでは全部は見られない。観客は年のいった人が多かったが、中年より若い人もそれなりにいて、名号や門主系図を熱心に眺めていたから、門徒も多いのだろう。展覧会が巡回するのは、広島、徳島、名古屋、金沢で、真宗門徒の多いところを回っているから、地方門徒への宣教という意味も濃いのだろうと思う。

戦国大名からの書状や天皇の宸筆も多いので、歴史好きにもけっこうたのしめる。見慣れた花押や「天下布武」の朱印もたくさん見ることができた。欲を言えば江戸時代の西本願寺の様子を示す物もあるとよかったかも知れないが、これだけでもかなりおなかいっぱいだったのでまあいいか。