絵画の冒険者 暁斎Kyosai

「絵画の冒険者 暁斎Kyosai─近代へ架ける橋」、京都国立博物館

河鍋暁斎の展覧会。これは今週の日曜日にNHK教育テレビの「日曜美術館」の特集で取り上げられ(なんで展覧会が終盤になったいまごろやるの?4月のはじめ頃に放送してくれればいいのに・・・)、ああ、これは客が増えるなあ、困ったなあと思っていた。確かに客は多かったが、殺人的に混んでいるというわけではなく(入館15分待ち)、ほっとした。去年の狩野永徳展の時は90分待ちだの120分待ちだの、べらぼうなことになっていて列を見ただけで入館をあきらめるという悲惨なことになったので・・・。
これまで河鍋暁斎というと妖怪の絵をたくさん描いている人という程度の認識しかなかったが、この展覧会でそういうレベルの認識は完全に覆された。とにかくどの絵も上手い。10代ですでに高い画力をもち、年齢を重ねても安定して高い力がある。画題はなんでもありで、山水画から妖怪、地獄、極楽図、仏画春画、何でも描いている。サイズも細密な小品から、劇場の巨大な引幕(説明文ではこれを4時間で描いたとなっている。とうてい信じられない)までなんでも描き、しかも力が入っている。下絵のていねいな描き込みを見ても、非常に神経の細かい人だったろうと思う。この展覧会は肉筆画だけで、版画は展示していないが、それでも相当な量で、生涯次から次へと描いていたのだろう。名人の名にふさわしい画家である。この展覧会では図録を買った。これからゆっくり家で眺められると思うとたのしみでしかたがない。