ラインの黄金

ワーグナーラインの黄金」、トマス・ステュアート(ヴォータン)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、ペーター・シュライアー(ローゲ)ほか、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、演出、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、1981

カラヤン制作のオペラ映画。音声はライブで録り、後で映像を録ってあてたもの。カラヤンの「指環」はそんなにほめられてないことが多いが、「ラインの黄金」だけは別で、実際この演奏の出来は非常に水準が高い。歌手はみなうまいが、特にペーター・シュライアーのローゲがよい。当然カラヤンと楽団の音はぴしっと決まっている。
見たあとであらためて思うが、ワーグナーのオペラ、特に「指環」は映画として作るのに一番適した曲である。まあ言ってはなんだが、モーツァルトのオペラは劇場で見ても、映画で見てもそんなに違わないだろう(「魔笛」は例外)。しかし「指環」は映画として作ればいくらでもすごいものが作れるのである。この「ラインの黄金」はあくまで舞台がベースで、視覚効果はそんなに派手なものではなく、演出にもそんなに動きがない、それでも舞台では出せない要素がいっぱい詰まっていて見応えあり。せっかくこれがうまくできたのだから、「指環」の他の三作も映画にしてくれればよかったのに。まあカラヤンが後10年くらい生きていてくれればと思う。それにしても指環のCDはあれだけ出ていて、VFXでやろうと思えばなんでもできる世界になっているのになぜ舞台をそのまま録画したものしか出ていないのか?不思議というか納得いかない。