近代日本の誕生

『近代日本の誕生』イアン・ブルマ(小林朋則訳)、ランダムハウス講談社、2006

『戦争の記憶』のイアン・ブルマによる日本近現代史の簡単な概説書。黒船来航から東京オリンピックの1964年までの時期を扱う。これだけの時期を邦訳でわずか210ページでまとめているので記述は簡潔。また基本的に日本についてよく知らない欧米人を読者として想定している本なので、日本人にとっては特に目新しい内容があるわけではない。
著者の視点はリベラルな西洋人にありがちなもので、その点も特に驚くようなことはない。しかしもともと中国研究からスタートして、日本についてもそれなりにきちんと勉強している人なので、細かい点でおかしなところがないではないが、著者の立場なりにバランスの取れた記述を心がけていることはわかる。原題"Inventing Japan"にあるような、ホブズボームっぽいところがやや鼻につくところはあるけど。