中国に人民元はない

『中国に人民元はない』田代秀敏、文春新書、2007

中国経済についての本。中国経済にいろいろおかしなことがあるというのはいろんなところで聞く話だが、この本の内容からすれば、こんな状態で経済がまともに動いていることが不思議。汚職がひどいとか司法がまともに機能していないとかいう程度のことであれば、いまさら驚かない。しかし、債務決済の概念がほとんどないとか、金利の影響がほとんどないとか、卸問屋のシステムがないという話には驚いた。こういう状態で長期の経済成長ができたとしたら、それ自体驚きだ。この本の記述の仕方はきちんとしていて、ひどい誇張や誤った評価があるとは思えない。この本一冊で中国経済を云々するのはどうかと思うが、中国株投資(現にしてますが)についてはかなり考えさせる材料にはなった。