トロイのヘレン

「トロイのヘレン」、ロッサナ・ポデスタスタンリー・ベイカーほか出演、ロバート・ワイズ監督、アメリカ、1955

昔のハリウッド版トロイア戦争。基本はパリスとヘレネの悲恋物語ということにされている。ということは、話の筋立ても神話どおりではなく、悪者は実はギリシャで最初からトロイアを略奪するつもりで口実を探していたら、パリス(ギリシャと和平を結ぶためにトロイアから遣わされた使者ということになっている)がちょうどヘレネを連れて逃げていったので、これ幸いとトロイアに攻め込むということになっている。ペーターゼン「トロイ」のストーリーには、ちゃんと元ネタがあったということでした。しかし和平の使者がかりにも相手国の王妃を勝手に連れ去っていいのかね。
お金のかかった昔のハリウッド映画らしく、セットは豪華。エキストラの数もたいへんなもの。木馬の造形はペーターゼン版「トロイ」のほうがいいかな。ギリシャ側の人物は、アガメムノン、メネラオスアキレウス、ほかみな自己中なキャラに仕立てられている。パリスとヘレネは美男美女。特にヘレネ役のロッサナ・ポデスタはきれいな女優。ちょっと頭弱そうな感じだけど…。ストーリーは変なひねりがなく、淡々と進むがペーターゼンの「トロイ」に比べれば、ずっとすっきりしていて、単純に楽しめる。やはりオリジナルの話をいじるにもやり方というものがあるとあらためて感じる。