ヒトラー暗殺計画

ヒトラー暗殺計画』小林正文中公新書1984

ちょっと古い本だが、この問題に関して日本語で出ている本が少ないので読んでみた。といっても、これ以外にはキルスト『軍の反乱』角川文庫くらいしか読んでいないのだが。
170ページほどの小著だが、1944年7月のヒトラー暗殺未遂事件を中心に、主に国防軍やワイマール共和国の関係者を中心とする反ヒトラー派の動きや、それ以前のヒトラー暗殺未遂事件、反ヒトラー派のヒトラーに対する態度や暗殺成功後の国家構想、事件後の関係者への処分など、関連する問題を要領よくまとめていて、短い時間でこの問題を知るには役に立つ好著。
ヒトラーも運が強かったとはいえ、反ヒトラー派には事後処理に対するまとまった計画が欠けており、組織的結束にも問題があった。暗殺が成功したとしても、ドイツは混乱しただろう。もっとも混乱したとしてもそれで戦争が1年早く終わっていれば、戦後ヨーロッパの地図はかなり変わっていただろうが。