ニュース映画で見る昭和「昭和48年~昭和51年」

「ニュース映画で見る昭和『昭和48年~昭和51年』」、日本映画新社

がけ崩れのおかげで半分家の土台が崩れ落ちて崖のぎりぎりのところに建つ家に住んでる人がいる。まあ金がないからしょうがないんだろうが、すごいねー。
田中角栄はあっという間に引き摺り下ろされた。まだロッキード事件で逮捕のところまでいっていないので、ナレーターの言い方はまだやわらかい。しかし持ち上げていただけのことはあり、初当選時から、初入閣、44歳での蔵相就任まで、政治経歴の節目のフィルムが編集されて回顧編ができている。こういう政治家はやはりもう出てこないだろう。
52歳で主夫と外で働く奥さんのことがニュースになっている。この頃はこういうのもニュース価値があったようだ。ダンナは食事や洗濯だけでなくて洋裁もやり、奥さんに30着も服をつくっている。このころは普通の主婦も裁縫やってたとはいえ、えらいね。
石油ショックのあおりで買いだめ騒ぎ。この石油ショックが「モノがなくなる」社会現象の最後だったのではないだろうか。1980年代以降に生まれている人たちはいろんな意味で社会的な貧乏をまったく知らないので、話しているととても新鮮な感じがする。今ガソリン価格が上がっても誰も騒いでないし。もう貧しいということを実感としてもっていない人が社会全体の三分の一か半分くらいになっているのではないだろうか。
「千円亭主」というニュースで酒の自販機が出てきた。カップ酒の自販機ではない。紙コップ飲料のように、プラスチックかガラス(見たかぎりでは不明)のコップが出てきて、それに酒が注がれるのだ。ほかにウィスキーの自販機もあった。こういうちょい飲みのための自販機があったのね。
昭和50年になって、やっと部分的にカラーフィルムになった。テレビはとっくにカラーになっているわけだから、ニュース映画がまったく取り残されていたことがわかる。また多くはスポーツ関係のニュース。江川とか原の高校野球時代の活躍が映っている。テニスの沢松和子とか。後は戦後30年ということで、戦争中のニュースフィルムがやたらひっぱり出されている。米軍のフィルムは発色がいい。