ニュース映画で見る昭和「昭和35年~昭和38年」

「ニュース映画で見る昭和『昭和36年~昭和38年』」、日本映画新社

「17歳」という一編があって、17歳の人のいろんな様子が出ているが、高校生が自治会をやってやいのやいの議論をしている。「生徒会」じゃなくて「自治会」になっているところは今の高校であるのだろうか。見た目もちょっと老けた感じでとても高校生には見えない。昔は成熟が早かったのか、高校生の関心が集団行動から個人の趣味にシフトしただけなのか。
酔っ払いのニュースで大阪の西成で、昼間から路上に寝ている酔っ払いを近所の人が担架で病院にもっていく話が出てくる。西成だなあ・・・と思っていたら、次にその釜が崎で暴動というニュース。「暴徒1万人」を機動隊が鎮圧したということになっていて、機動隊はガンガン殴っているが「凶悪な暴徒には容赦なく鎮圧が加えられます」というナレーションでサクッと片付けられている。後のニュースでは山谷の暴動も出てくる。このころはともかくとして、今の日本で暴動が公然大規模に起こっているのはこの二つくらいではないだろうか。ここは昔から変わらない。
熱海、伊東への週末観光がはやっていて、週末準急の指定券をダフ屋が浮浪者を使って夜中に並ばせ、みな買い占めてしまうというニュース。このころが熱海の全盛期だったのね。駅前も客と客引きでいっぱいで、この頃の熱海を知らない自分はちょっと感慨深い。
それから横須賀の米軍基地の様子が出てくる。まだ母港にはなっていなかったキティホークが入港。町もすっかり米軍でもっている感じで、セーラー服姿の水兵と米軍向けのクラブや飲み屋で夜の町は電光照明がピカピカしている。基地労務者組合のストの様子が流れているが、基地に反対する雰囲気はぜんぜんなし。沖縄とはえらい違いだ。
あと、日本海側(ニュースでは裏日本といっている)の雪がすごい。昔は2階まで積もっていたというのがほんとのことだったんだなあとわかる。永平寺のひさしが雪でおしつぶされたりしている。鉄道は除雪車を出しているが、それでもけっこうな部分は人海戦術で除雪をやっている。自衛隊が雪を列車に積んで信濃川に捨てに行ったりしているが、とても間に合う感じではない。最近は暖かくなったことを実感する。