中朝国境で何が起きているか

「中朝国境で何が起きているか:鴨緑江・800キロを行く」、NHKスペシャル

2007年3月25日放送分の番組。録画したままほっといていた・・・。
中朝国境沿いの経済取引の状況を、長白、集安、丹東の三つの町からの映像と、北朝鮮内部の映像(隠し撮りではなく許可つき)で構成したもの。よくまとまっていて中国、北朝鮮間の貿易、投資の状況を概観できる。北朝鮮内部にはそれなりに購買力のある層が形成されていて、この層に向けた中国から北朝鮮への消費財の生産投資はちゃんと引き合うようだ。しかし、事業収益を人民元で回収して中国に送金できるのかどうかという肝心な点には触れていないので、そこはわからない。貿易についてはかなり活発に物資のやりとりをしているようだが、こちらはほぼバーター決済で、北朝鮮消費財の輸入代金を木材で払っている。おそらく卑金属類も輸出しているだろう。番組では中国では木材需要が上がっているので、事業は有望であることが強調されていたが、これでは北朝鮮は「売り食い」状態なので、それほど大きく取引を拡大することは期待できないだろう。やはり韓国や将来的には日本などからの投資をあてにせざるを得ない。
また輸入されている消費財北朝鮮でどういう形で取引されているのかがわからない。まあこれを取材して番組にするのは難しいだろうが。いずれにせよ、非常に参考になる番組だった。これなら北朝鮮は成長は期待できないにしても、生存最低限レベルの物資は手に入れられる。問題は、それにともなって国内での統制がどうなっているかだが・・・。