逆立ち日本論

『逆立ち日本論』養老孟司内田樹、新潮社、2007

養老孟司内田樹の対談本。対談のネタは、基本的に内田の『私家版ユダヤ文化論』で、これをもとにしてユダヤ人論をやっている。あらためてユダヤ人について自分がぜんぜんわかってなかったことがわかった。そういう意味でよかった。それからあとの部分は、このユダヤ人論の裏返しの形で日本人論をやっている。この部分もおもしろかった。というか、自分のどこがダメかということもちょっとわかった。やはり怒りっぽいこと、強迫的なのはダメらしい。しかしこれは簡単には治らない。まあしかたがない。まえがきを養老、あとがきを内田が書いているが、内田のあとがきがおもしろい。養老にはたしかに「長者の風」がある。そこを内田がさらっと受け止めて流す。最後の章のタイトルが「随処に主となる」となっているが、なるほど確かにこの本全体がそうなっている。気分のいい本。