腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」、佐藤江梨子佐津川愛美主演、吉田大八監督、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」製作委員会、2007

本谷有希子の原作は未読。しかしこれはおもしろい。登場人物はみな完全にイカレている。佐藤江梨子もそうだが、永瀬正敏永作博美もかなりいっちゃっている。佐津川愛美は知らない女優だが、いい味出している。
女優になりたいとひたすらわめく自己中心的、空気読め状態の姉=佐藤と、その姉をマンガにすることに没頭する暗くて気弱っぽい妹=佐津川、二人とは血縁関係のない兄=永瀬、その嫁=永作が石川県の山奥で異常な毎日を送るお話。最初のうちは佐藤江梨子の異常さだけが際立っているが、そのうちほかの登場人物の異常さもだんだんわかってくる。永瀬がそばつゆを永作にぶっかける場面とか、最後の佐津川が手紙をぶちまけるシーンとか、かなり楽しめる。ただ最後だけ若干くどい。もう少し切れると思うのだが。
そして、本谷の原作は必ず読まなくては、と心に誓うのだった。