解決はしません

『解決はしません』1-3、内田春菊集英社、2002-2005

内田春菊のマンガは以前ずっとよく読んでいたのだが、最近さっぱり遠ざかっていた。ひさしぶりに読んでみたのは、この作品の絵柄が昔のものに比較的近かったから。話は、パニック障害にかかった女性がどんどん妄想世界にはまりこんでいく、というもの。主人公が転落していくきっかけはパニック障害なのだが、深みにはまっていく理由はその病気よりも本人の性格。内田春菊のマンガによく出てくる、自己中心的で妄想にふけり、周りを振り回すキャラクターの人。こういう人を描かせると、内田春菊はあいかわらずうまい。ある意味、主人公はパニック障害を言い訳にして、自分のゆがんだ性格をつくろっている感じがする。最後のところも、破綻を暗示するような終わり方。読んでいくと、内田春菊の昔の作品のことをどんどん思い出す。画風はちょっと変わっていても、作風はあんまり変わってなくてよかった。