蛇娘と白髪魔

蛇娘と白髪魔」、松井八知栄、高橋まゆみ主演、湯浅憲明監督、大映、1968

1968年製作でモノクロ??と思ったが、これはモノクロで正解。絶対にそのほうがコワイ。原作は楳図かずおで、少女漫画にいかにもありそうな恐怖要素がてんこもり。孤児院で育った、実はお金持ちの家の娘、産院での取り違え、顔に醜いアザのある少女、悪いお手伝い、記憶喪失の母、白髪の怪しい婆などなど。成人して見ているから、そんなに恐怖を感じないが、映画館で子どもがこれを見たら真剣に怖いと思う。少なくともこの前見たヘビ映画3部作よりは絶対にこっちのほうが怖い。やはり怖さというのはヘビとか、そういう小道具にあるのではなくて、人間の心の底にあるのねと実感。この映画だと、孤児院で取り違えられてお金持ちの家で育てられたタマミ(高橋まゆみ)の嫉妬心むき出しのようすと、もう悪の化身のようなお手伝い。このお手伝いが主人公を工事現場から下に突き落とそうとして、しがみつく手をがんがん角材で突きまくるところがハイライト。最後はハッピーエンドだが、後味が悪いなあ。
さすが楳図かずおはあなどれない。主人公の松井八知栄は、かわいい、利発な少女でとても印象深い。この後あまり映画には出なかったのだろうか。また、血のつながっていない姉、タマミ役の高橋まゆみは子役ながら鬼気迫るありさまでこれもよし。けっこう知る人ぞ知る怪作らしいが、掘り出し物だ。