新書 忍びの者

「新書 忍びの者」、市川雷蔵、安田道代主演、池広一夫監督、大映、1966

忍びの者シリーズ八作目。これが最終作となった。時代はまたまた巻き戻しで、武田信玄が織田、徳川氏と対抗している頃。市川雷蔵は名前も新しくなり、霞小次郎。忍者だった父親を殺され(しかし、小屋の奥に隠れていても小屋ごと火薬で吹っ飛んでいるのだから、なぜ市川雷蔵が生きているのか不思議)、その仇を討つために、武田方に雇われている忍者の頭領に弟子入り。で、この頭領が一作目の百地三太夫役、伊藤雄之助なのでややこしい。キャラはまるっきり変わっているが。敵にも味方にも変幻自在の伊達三郎は相変わらず出演(今度は味方)。
伊藤雄之助忍者団は武田についているが、城の攻防戦で武田信玄が坑道にいる仲間もろとも城をふっとばしたことで、今度は武田信玄の命をねらうようになる。さて、市川雷蔵は敵を二人まで倒し、最後の一人は…、という話。
安田道代が伊藤雄之助の娘役で出てくるが、凛とした感じでいい。このころの安田道代は(今でもうまいけど)、何をやらせてもハッと目をひくような感じ。話としてはこのシリーズも末期になって、一作目に近いストーリーになってきた。やはり一作目が一番おもしろかったし。「陸軍中野学校」シリーズはもっと続きを作って欲しかったが、このシリーズについてはこれでいいでしょうという印象。