2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

ひろゆき2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』、扶桑社新書、2007

著者名をあえて西村博之とせず、「ひろゆき」としているように、かなり2ちゃんねらーを読者にあてこんだようなつくり。内容はひろゆきの「語りおろし」をまとめて本にしたもの。もともとひろゆきはあまり長い文章を書くのは得意でないようだが、原稿をまとめた人がきちんとしているのか、中身はちゃんとまとまっていて、すなおに読める。
ひろゆきは、非常に頭脳明晰な人なので、この本でもインターネットについてふくらんでいる夢のような話がばっさばっさと一刀両断にされている。ミクシィ株バブルとか、Google社の行動とか、いろんなことがわかりやすく説明されている。佐々木俊尚は対談でバッサリやられている。ジャーナリストの人には、「社会をよくする」という過剰な道徳的情念を振り回そうとするのが多くて困る。一方プログラマー小飼弾との対談は、三分の一くらいはプログラミングがわかる人しかわからないのでお手上げ。技術を利用した社会設計には基本的な技術的知識がないと手が出ないということがよくわかる。
またP2P技術の問題は法律ではどうしようもないので市場に任せるしかない、というのはまったく正論だと思うが、やはりこういう話は日本社会では受け入れられないのかな。受け入れようと受け入れまいと、物事は動くように動くだけだが。