ブンブン堂のグレちゃん

グレゴリ青山『ブンブン堂のグレちゃん』、イーストプレス、2007

マンガの新刊書を買うことはめったにないのだが、大きなマンガ専門書店(というか同人誌もいっぱい置いてるオタクショップ)で平台積みされていたのでひょいと買ってしまった。これはほんとうに拾い物だった。1980年代後半、(たぶん)阪急古書のまちとおぼしき古本屋の一軒でバイトすることになった作者のエッセイ集のようなマンガなのだが、古本屋さんの仕事の日常とか、愛書家のいろんな生態がのんびりしたテイストの絵で、タラタラ書き綴られている。絵はまあヘタの部類だと思うが、このテーマと雰囲気にはぴったり合っていて、とてもよい雰囲気をかもしだしている。
わたしは古書に沈殿する愛書家ではないので、ここに出てくる人たちの世界とはちょっと別のところにいるのだが、こういう世界にはすなおにあこがれる。いまの職についていなければ、古書店をやったりするのもいいなあとか(甘い考えで)思っていただけに、よけいにそう思う。この作者の本ははじめて見たが、非常によい趣味を感じるので、ちょっと作品を漁ってみようと思う。