かんかん蟲は唄う

「かんかん蟲は唄う」、勝新太郎、峰幸子主演、三隅研次監督、大映、1955

勝新太郎初期の一作。正義感の強い船のサビ落としの工員役の勝新がまだ見ぬ父を求めて奔走したり、悪人をやっつけたりと大活躍、という話。勝新の声があまりに違い、やたら透き通っていてしわがれていないので驚く。まだ白塗りの頃なので、ぜんぜんアクがないヒーロー役をやっているところにすごい違和感を感じる。ついでに中村玉緒もちょい役で出ている。
映画としてはまったくおもしろくない。役柄を変えてからの勝新のイメージが刷り込まれているせいもあるかもしれないが、それにしてもふつうにつまらない。何より勝新、ヘタ。監督は三隅研次だが演出もよくない。こういう役者が座頭市や大宮に化けられたというのが信じられない気がする。