警視庁・特殊部隊の真実

伊藤鋼一『警視庁・特殊部隊の真実』、大日本絵画、2004

警察の特殊部隊SAT(の前身になるSAP)の要員だった著者による、特殊部隊の要員選抜と訓練について記した本。特殊部隊設立がダッカ事件をきっかけに行われたものの、当初は部隊の設置自体が秘密にされていた経緯は興味深い。また要員選抜の過程や機動隊の訓練の様子もおもしろい。訓練は対ハイジャックと射撃訓練について書かれているが、その部分も迫真性に富んでいる。しかし、全体的に分量があまりに薄い。12ポイントはありそうな大きな活字でページ数は200ページ。しかも9.11テロの細かい描写など、はっきりいってどうでもいい部分も含まれている。これで2700円というのは、どう考えても納得がいかない。ほかの訓練の様子とか、隊員の人間模様とか、保秘にさわらない範囲でいくらでも書けることはあるだろう。編集者の責任は大。