アメリカで日本のアニメは、どう見られてきたか?

草薙聡志『アメリカで日本のアニメはどう見られてきたか』、徳間書店、2003

表題どおり、アメリカでの日本製アニメの受容史を「白蛇伝」から現代にいたるまで一貫して追いかけた本。朝日総研のレポートを単行本化したものだが、労作といえる。これを読むとアメリカへの日本製アニメの輸出にはなみなみでない困難があったことがよくわかる。アメリカのネットワークシステム、テレビにおける暴力規制、何よりも日本アニメの文化的背景がアメリカの視聴者にストレートに受け入れられなかったこと。子供のころにディズニーアニメや、ハンナアンドバーベラのアニメを多数見ていた自分からすれば、文化的障壁がそれほど高いということは簡単には受け入れられないのだが、逆にいまカートゥーンネットワークニコロデオンでかかっているアメリカ製のアニメを見ようという気にはまったくならないので、考えさせられる問題である。しかし通読して感じることは、「ポケモン」のような最初から輸出を視野にいれ、日本文化的痕跡を残さないように工夫され、適切な戦略をもって輸出された作品を例外として、アメリカの大きな層に日本製アニメが受容されることは簡単ではないということ。宮崎駿が興行的に成功しなかったとしても、驚くようなことではないのだと。