背筋が冷たくなる話

谷甲州『背筋が冷たくなる話』、集英社文庫、2000

谷甲州のホラー短編集。いままで谷甲州はSFと山岳ものしか読んだことがなかったので、どういうものかと思って読んでみたが・・・。まあまあ。というか、あまりおもしろくないものとけっこうおもしろいものが同居していて、平均点というものがつけられない。けっこうおもしろかったのは、ネパールの女人村と猿の子殺しを組み合わせた「猿神」、子供が妊娠している母親に向ける悪意の話「三人の小人と四番目の針」、電話タダがけと奇妙な無言電話の話「制裁」あたり。特に「制裁」はよかった。谷甲州はしかけの上手な作家だが、そうでもないものがあるのはこの短編集がたまたまそうだというだけか?