新書365冊

宮崎哲弥『新書365冊』、朝日新書、2006

創刊されたばかりの朝日新書のシリーズ第一弾の一冊。この最初の12冊の中では一番おもしろそう(他のはまだ読んでいない)。で、内容だが、宮崎哲弥版「新書1000本ノック」というもの。著者は毎月刊行される新書を全部読んでいたというのだから、おそろしい。月に60冊から100冊ということだ。まあ読めない数ではないが、他の本も読み、これ以外の仕事もしながら読んでいるわけだから、たいへんである。これくらいこなしているとやはり「数は力なり」ということがあり、いろんな分野から幅広く本がセレクトされていることがうれしい。これは新書というジャンルに限定したからできたことである。もちろん著者のもともとのフィールドに属する本の紹介が手厚くなっており、そこの分野の読みはいちばんきちんとしていることがうかがい知れる。例えば、「法と自由」「歴史・文学・ことば」「脳・心・からだ」「宗教」といったジャンル。最後に「問題な新書」としてあげられている「ダメ本」だが、ここは、「どういうふうにダメなのか」を示すことで著者のスタンスを示すことに意味があるのだから(ダメ本をあげるだけなら、いくらでもあげられるはず)、もうちょっとていねいに書いてよいはずだと思う。