炎上

「炎上」、市川雷蔵、中村雁治郎主演、市川崑監督、大映、1958

三島由紀夫の「金閣寺」の市川崑バージョンの映画化。市川雷蔵はこれが現代劇初主演とのことだが、ほんとうによく役にはまっている。どもりとそのコンプレックスが裏返しになって、驟閣寺(この映画での金閣寺の仮名)への憧憬になっているのだが、どもりの様子、おどおどした態度、強い意思、といったものがないまぜになった主人公の造形がここまであざやかになっているのは市川雷蔵ならではと思う。また雁治郎の尊大さ、仲代達矢のギラギラした悪党ぶり、みなよく決まっている。また、驟閣寺が燃える場面はまさしくタイトルそのものだが、非常に美しく決まっている。
最後の終わらせ方は、ちょっとどうかなとも思うが、ズルズルしてなくてこれもありか。