戦争の正しい始め方、終わり方

兵頭二十八別宮暖朗『戦争の正しい始め方、終わり方』、並木書房、2003

ちょっと困った本。特に別宮のほうの記述に細かい不正確な内容が多すぎる。例えば前半部分では国際法の解釈。まず国際法の議論をするのなら、解釈の典拠を示すべきだし、先制攻撃が侵略にあたるかどうかを議論するのに、「先制自衛」についての議論をとばしてしまうのは困る。後半では、中国に関する一方的な記述は中国研究者が読めば目を回すような内容になってしまっている。他にも集団自衛と集団安全保障を混同しているし、キッシンジャー外交に対する評価も納得できない。第一次大戦などについて、一定の見識をもっていることは認めるが、やはり素人歴史家の難点を免れていないとせざるをえない。