陽のあたる坂道

「陽のあたる坂道」、三浦友和檀ふみ主演、吉松安弘監督、東宝映画、1975

どうも見ているうちに三浦友和がやたら石原裕次郎のマネっぽいなあと思っていたら、案の定最初の映画化は石原裕次郎北原三枝の主演で1958年に公開されており、さらに二度目の映画化が渡哲也、十朱幸代の主演で1967年にされているので、この映画は同じ原作の三度目の映画化ということになる。それだけ最初の映画化が大ヒットだったのだろうが、この作品をみるかぎり、その片鱗はうかがえない。
原作である石坂洋次郎の小説は、三浦友和がやんちゃな次男坊をやっている上流家庭に学生の檀ふみが家庭教師にやってきて、長男と次男が檀ふみを取り合ったり、檀ふみの幼馴染みの男が、家庭教師として教えている女の子(浅田美代子)とくっついたり、長男と次男の間にややこしい秘密があったりと、しちめんどうくさい人間関係がいろいろとある話。しかし、そもそもこれらの人間関係(特に長男と次男、それに母親(新珠三千代)・・・次男にとっては実の母ではなく、養母)が非常に偽善的でうそっぽい。というわけでストーリー全体がどうも背中がかゆくなるような気色悪さでベタベタした感じになっている。檀ふみもあんまり可愛くない(「俺たちの祭」の美しさはどこに?)。石原裕次郎の58年版はホメてある評価が多いから見てみようかとも思うが、212分の大作(この映画のほぼ倍の尺)でこのストーリーだとちょっと見る気は起こらないなあ。