鄭大均『韓国の
ナショナリズム』、
岩波現代文庫、2003
日本、韓国、
アメリカで生活した著者が、韓国の
ナショナリズムを批判的に分析した本。現在ではそうした立場の本はかなりでているから珍しくはないが、オリジナルは1992年に出ているので、その時期にこういう主張を正面からできたというのは貴重なことである。
また著者の立場が微妙なバランスをうまく取っているため、この種の本にありがちな一方的な見方や極端な例の強調から免れていて、今日でも価値を失っていない。
韓国における
反日論のパターンを示した5章がおもしろいが、韓国における日本文化の受容と廃棄を扱った6章にも個人的には非常に興味をひかれる。